次世代内航海運ビジョンについて
内航海運は、国内貨物輸送量(トンキロベース)の4割を担うとともに、とりわけ鉄鋼、石油、セメント等の産業基礎物資の輸送の8割を支える基幹的輸送モードとして、四方を海に囲まれた我が国における経済活動及び国民生活に重要な役割を果たしている。
近年、バブル経済崩壊後の長引く景気の低迷、経済のグローバル化の進展に伴う企業の国際競争の激化等の結果、企業の合併や業務提携による事業再編の動きが活発化する等内航海運を取り巻く我が国経済の状況は大きく変化している。また、地球温暖化等の環境問題では、平成9年12月の「気候変動に関する国際連合枠組条約」第3回締約国会議で採択された「京都議定書」において、我が国を含む各国の二酸化炭素排出抑制の数値的目標の達成が義務付けられる等地球的規模での環境保全の取り組みの強化が急務となってきている。
21世紀を迎え、こうした経済・社会の諸情勢の変化に的確かつ柔軟に対応した新しい物流システムの形成が求められる中で、内航海運についても、環境負荷が小さく、輸送効率に優れたその特性を十分に発揮し、引き続き、物流の大動脈として21世紀の我が国経済社会の発展に寄与していくことが求められる。
一方、内航海運についてはその活性化を図るため、平成10年5月にスクラップ・アンド・ビルド方式による船腹調整事業を解消し、これに伴う経済的影響を考慮して内航海運暫定措置事業を実施している。これまで約4年間にわたる同事業の実施の結果、船腹需給の適正化に一定の成果がみられている。
このため、今後の内航海運については、前述した21世紀の時代の要請に応えるため、市場原理と自己責任の考え方の下、より競争的市場構造への転換を図るとともに、コスト競争力があり、質の高い輸送サービスの提供が可能となるよう、その活性化のための総合的な取り組みを行っていくことが不可欠である。
本懇談会においては、こうした問題認識の下、国土交通省からの依頼により、21世紀型内航海運のあり方を整理し、これを踏まえた海運、船舶、船員、港湾の海事分野全般にわたる内航海運行政の具体的な取り組みの方向について、昨年7月から本年4月まで10回にわたり検討を重ねてきた。今般、以下のとおりその検討の成果をとりまとめたものである。
次世代内航海運ビジョン 〜 21世紀型内航海運を目指して 〜
次世代内航海運懇談会名簿(平成14年4月26日現在:敬称略)
座長 杉山武彦 一橋大学副学長
座長代理 加藤俊平 東京理科大学教授
委員 中泉拓也 関東学院大学専任講師
委員 橋本寿朗 法政大学教授
委員 松田英三 読売新聞社論説委員
委員 大和裕幸 東京大学教授
常任オブザーバー 小谷道彦 日本内航海運組合総連合会会長
(※ 橋本寿朗委員については、平成14年1月15日逝去)
次世代内航海運懇談会暫定措置事業部会名簿(平成14年4月26日現在:敬称略)
部会長 加藤俊平 東京理科大学教授
部会長代理 中泉拓也 関東学院大学専任講師
委員
青山東男 セメント協会輸送専門委員会委員長代行
委員
江口稔一 運輸施設整備事業団業務第三部長
委員
太田洋一 石油連盟内航専門委員会委員
委員
小谷道彦 全日本内航船主海運組合会長
委員 四宮 勲 全国海運組合連合会会長
委員
島田龍重 商工組合中央金庫審査第二部担当部長
委員
立石信義 全国内航タンカー海運組合会長
委員
三井田樹彦 全国内航輸送海運組合会長
委員
武藤直樹 日本鉄鋼連盟物流政策委員会委員
委員
吉田啓一 内航大型船輸送海運組合会長
次世代内航海運懇談会等の検討経過
平成13年7月27日(金) 第1回次世代内航海運懇談会
・内航海運の現状等現状把握、論点整理
・関係者からの意見聴取@
平成13年9月6日(木) 第1回次世代内航海運懇談会暫定措置事業部会
・暫定措置事業の状況等現状把握、論点整理
・委員からの意見陳述@
平成13年9月28日(金) 第2回次世代内航海運懇談会
・関係者からの意見聴取A
・21世紀型内航海運のあり方について(案)の検討
平成13年10月17日(水) 第2回次世代内航海運懇談会暫定措置事業部会
・委員からの意見陳述A
・暫定措置事業等に係る政策評価の進め方についての検討
・暫定措置事業の現状の取り組みと課題についての検討
平成13年11月29日(木) 第3回次世代内航海運懇談会
・内航海運行政の取り組むべき課題について@(案)の検討
平成13年12月10日(月) 第3回次世代内航海運懇談会暫定措置事業部会
・暫定措置事業等に係る政策評価(中間報告)について(案)の検討
・暫定措置事業の現状の取り組みと今後のあり方について(案)の検討
平成14年1月22日(火) 第4回次世代内航海運懇談会暫定措置事業部会
・暫定措置事業の今後の取り組みについて(案)の検討
平成14年1月25日(金) 第4回次世代内航海運懇談会
・内航海運行政の取り組むべき課題についてA(案)の検討
・次世代内航海運懇談会暫定措置事業部会の検討結果報告
平成14年3月8日(金) 第5回次世代内航海運懇談会
・関係者からの意見聴取
平成14年4月26日(金) 第6回次世代内航海運懇談会
・次世代内航海運ビジョン(案)の検討
|