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議事 (1) 暫定措置事業の状況等について (2) 各委員からの意見聴取 (3) その他 議事経過 事務局より資料に基づいて暫定措置事業の状況等について説明を行った後、各委員からの意見陳述が行われ、その後、委員による議論を行った。 主な議事の概要 ・内航海運暫定措置事業については、船腹需給の適正化に一定の効果があると認識しているが、内航海運の競争力強化の観点からは、早期の事業の終了が必要。 ・荷主企業もリストラを実施しており、競争が厳しい。暫定措置事業は、あくまで内航海運業界の中で自己完結をすべきであり、それに係る負担を荷主等に求めるべきではない。 ・安定輸送を求めるならば、荷主がコスト保証を行うことも考えるべき。暫定措置事業がなくなれば自由競争となるが、買い叩いても最後はコスト負担をしなくては安定輸送が確保されなくなるのではないか。荷主自らが船舶・船員のコストを管理して合理化に努めることが重要。 ・暫定措置事業は、当初500億円の所要資金が700億円、さらに来年度要求では900億円の規模と拡大しつづけており、今後の事業の見通しが不明確であるのは問題。 ・船舶の建造量が低迷しているが、近年の経済情勢により船の採算性が厳しいことが原因であり、今後の船舶建造の資金調達に際しては、船舶収支が重視されるため、場合によっては荷主側の用船保証等の検討も必要。 ・政策評価の実施にあたっては、暫定措置事業自体の目的がブレるとその結果に影響するので、目的を具体的な数値で提示することが必要。目的を引当資格解消のソフトランディング策と過剰船腹の処理とするだけでよいのかについて検討が必要。 ・船腹調整事業と暫定措置事業のプログラム評価は、政策の当否について白黒をつけるものではなく、様々な意見を集約して政策のメリット、デメリットを整理するとともに、今後の政策実施への改善点を見いだすためのものである。 |
暫定措置事業部会の論点について T 暫定措置事業のこれまでの評価 ・暫定措置事業等に関する政策評価の実施 U 暫定措置事業の現状の取り組み 1.船齢15年超船舶の取扱い 2.当面の事業収支(平成15年度以降の納付金及び交付金単価の考え方を含む。) V 暫定措置事業の今後のあり方 1.今後の船舶建造 2.内航海運の構造改革 3.良質かつ効率的な物流システムの構築 |
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全日本内航船主海運組合会長 小谷 道彦氏 T 暫定措置事業のこれまでの評価 移行した当時は様々な意見があったが、現状は高く評価している。当初は500億円あれば資金回転可能であろうと考えられていたが、不況長期化で原資が不足し、200億円を追加手当てしたにも関わらず、なお不足の状況にある。これは、不況の影響であり、業界の責任範囲を超えたものと言える。 ある意味では、内航業界は3年前から構造改革に取り組んでおり、その完結まで是非政府の支援が必要であると考えている。 V 暫定措置事業の今後のあり方 @今後の船舶建造のあり方について 現状の運賃・用船料市況は、コスト割れの状況であり、建造云々以前であるが、今後ということで言えば、民間の金融機関のほとんど期待できない。そこで、運輸施設整備事業団の存続が必要であると考えている。存続の上は、現状の貸付・共有条件をもう少し弾力的に、事業者の経営状態から選択できるメニューに広げてもらうことを要望する。船舶の共有方式も、一船一社に限ることなく、オーナー同士、オペ・オーナー共有、また、オペの保証も長期保証、短期保証も可能とし、オーナー本来のあり方でもある短期保証によ り、転売によるキャピタルゲインを得る方法も考慮に入れるべきと思われる。 A内航海運の構造改革の点では、協業化の必要を強調するものである。 平成13年版海事レポートでは3月31日現在で内航海運事業者合計が5,363事業者で、そのうちいわゆる「一杯船主」と呼ばれる許可事業者1,893社と届出事業者1,608社で、全体の約7割を占めている。 協業化が叫ばれて久しいが、総論は賛成するが、各論では地方オーナーは自分のことになると、なかなか協業化には踏み切れないのが実情だ。内航総連の制度としては、従来から転廃業と並べて集約・合併にも給付金を給付する規定を設けているが、最高で150万円 の頭打ちではインセンティブにもならない。 全内船の会長としては、メリットある協業化、言い換えれば、協業化すればこれだけメリットがあるといった制度を、内航総連の活動の中に設けてもらいたいし、検討してもらいたいと思っている。 協業化する前に、各社が借入金などを返済し、赤字を精算して身軽になって、初めて協業化も進むと思う。内航総連の経営合理化ワーキンググループで少し知恵を絞ってもらい、現実的な対策作りを検討してみる価値はあると思う。商法改正や税制改正も合併・分割・現物出資については、現実的な改正が行われており、対応しやすくなっている。 また、少し見方を変えてみると、いわゆる外注に出す方式もあるのではないか。内航海運業界は、従来から1社完結主義経営をとってきたが、他の業界ではすでに一般化しているアウトソーシングによる分業・経費節減の方法だ。海運業の業務の中で、例えば船舶の保船管理業務や船員の配乗業務を外注に出すことも可能なのでと思う。船員関係では、国土交通省の船員職業紹介等研究会で検討の結果、10月に事務局案が提示されると聞いている。船員の共同雇用などが前進することを期待している。 B良質かつ効率的な物流システムの構築について 全内船の平成13年度の事業計画にIT化の推進・充実を謳っている。平成11年始めごろから、全内船所属の運航委託船の稼働が悪かったので、運航効率の向上を目的として、オーナーサイドから船舶のポジションを情報提供しようと考えて、「船舶動静(運航状況)管理システム」を立ち上げた。 本船の船舶要目を少し詳しく記載したリストを画面で見ることができ、運航状況をリアル・タイムにパソコン画面の日本周辺海図上で把握できるシステムだ。最近では貨物船のタイト感から、本システムでの商談成立例はないが、とりあえずビジネスモデルソフトとして、昨年10月に「用船仲介方法及びシステム」名で特許の共同出願している。 このソフトは、オペレーションする船舶が多ければ多いほど、効率的に活用できるの で、大手オペレーターや荷主サイドでの自社内活用も可能である。いずれ、船腹がタイトになった時には、必要性が発揮されるものと考えている。全内船では、せっかくのソフトでもあり、所属船舶の全船登録を行い、組合費管理から船種別管理などに利用したり、組合員が所有船をパソコン画面の海図上にプロットで見ることができるよう、有効利用のためのIT化を推進している。 |
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